CLASKA 705

2013年、自身も事務所として使用していた「Hotel CLASKA」内のスペースを、客室にコンバージョンすることになりました。
 
先に結論からお話しすると、完成したのはモダンな洋室です。では、以前のコラムでも触れた 「Hotel CLASKA」 のリニューアルコンセプト 「日本の今(Contemporary Japanese)」 というキーワードをその洋室のどこに反映したのかというと、 「床の構成」 に、です。

 

 

アイデアソースは、父親の実家にかつてあった「土間」でした。

 

ひんやりとした肌ざわりの表面が鈍く光った床の上にかまどがあり、そこにはいつも女性陣がわいわいと楽しそうに料理をしている姿があり、幼かった自分は裸足でウキウキしながら歩き回っていた記憶があります。大好きな空間でした。

歩き回るのに飽きたら、土間から一段上がった座敷(記憶の中では結構高い)に寝転んで土間を俯瞰しながら、床板の冷たさや木や土の匂いを違った角度から体感していました。                                          

そんな幼少期の記憶をこっそりと客室の床に忍ばせることで、ゲストの方々にも日本家屋の気配を足裏で感じ取ってもらえたら……という想いでデザインした客室です。

 

 

そもそも土間は土足領域ですが、そこは自身が裸足で走り回っていた記憶を元にしているので客室のドアを開けてすぐの場所に「たたき」をつくり、そこで靴を脱いでもらうようにしました。                                          

その先には土間をイメージしたモルタルの床を配置し、そこから一段上がった床は板の間のイメージでフローリング貼仕上げにしました。

そこには初代「Bread Sofa」のフランネルバージョン(今もリフォームさせていただいたお宅で健在です)があり、試作を兼ねて自分で作った「Wood Brace Low Table」も置かれています。

 

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